恥ずかしながら

生きてます。恥ずかしながら…


映画「太陽」をみました。
ロシア人が撮った日本人とアメリカ人。
視線は、ひねくれてもなく、批判的でもなく、独善的でなく、冷静でどこかユーモアがあって優しい(けど冷徹)。
暗い画面と地味〜な音楽とドラマチックでないストーリー(いや、内面的には物凄く深くてドラマチックなんだけど)。
昭和天皇ヒロヒトを演じた、イッセー尾形という役者がいてこその、この映画だったんだなと思いました。
現人神という存在を押し付けられ、神であるかのように扱われるのにまったくその力も無く、深い懊悩と絶望としかしどこか浮世離れした無邪気さを同時に見せる事が出来るのは、この役者さんだけだったんだろうなと。
大東亜戦争のきっかけを突然しゃべり始め、書記官(なのかな?)に筆記させている途中で、佐野史郎演じる侍従長に空襲が来るので防空壕に避難してくれと言われ、一言、
「あ、そう」
この軽い言い方に、緊迫してるのに微妙に笑いが出るのがなんともいえず。
故枝雀師匠の「笑いが生まれるのは緊張と緩和」という言葉が蘇ります。
この、「あ、そう」は、この後も何度か出てきて、微妙に笑いを誘いました。
最後の最後で出演した桃井かおり演じる皇后も、この「あ、そう」を何度も言うので、微妙に可笑しいのでした。
しかし、ほとんどアドリブが無かったというんだけど、皇后の帽子が取れなかった時の二人は天皇と皇后というより「2人劇イッセー尾形桃井かおり」という感じがしたんだが、どうか?
ラストはね、桃井かおり皇后の「目」に持っていかれました。
やっぱ、すごい、女優さんだ。
それを告げた侍従長を睨んだあの目が、無邪気なヒロヒトを、守ってくれるんではないかと、思わせる強さがあると思いました。